リョーマの誕生日を祝う企画を開催します!
カウントダウン形式で、全部で5話、短編だけど描きたいと思います。
もしかしたらどっか一話分絵になるかも。←
ではでは始まり〜
ちなみにリョマ片思い設定。←
「・・・・さむ・・・」
街も色づく12月下旬。華やかで暖かな装飾で輝く町並みとは異なり夜の空気は冷たく、手先が痛みを覚えるくらいである。
学校は昨日から冬休みに入った。
けれど、青学テニス部は「休み」なんて関係なしに部活がある訳で。
今日だってがっつり朝から部活だった。寒空の下での練習は、どの季節よりもきつい。
確かに夏の暑い日差しの中での練習だって半端ないけど、手足がうまくうごかないこの寒い時期に体を動かすのはいつもよりつらいのだ。
手塚もそれを見越した上で、練習のアップでまずグラウンドを30周させる。そしてそこからの打ち合い。上がる息はすべて白い煙となって空へとのぼっていく。
帰り道、ふとウィンドウにならぶ文字に少しだけ心が揺れる。
「・・・クリスマス・・・か・・・」
まあどうせ、クリスマスなんて部活でつぶれるんだろうな。なんて可愛くないことを考えつつ、現実なのだからしかたがない。
まあ部活がなかったからといって特に何がある訳でもなし、別段気にもとめていない。
だけど、唯一気になることといえば、あいつのクリスマスかもしれない。
あいつ、というのは、青学男子テニス部のマネージャーのことである。
一個上、なのに、どこか年下扱いしたくなる、いわばいじられキャラなのだ。
バカだしドジだしどうしようもないほど方向音痴だし。
だけど青学男子テニス部にとって彼女はかけがえのない存在であることは確かだった。
その証拠に、彼女が笑うと皆が微笑む。
俺がテニス部に入った時にはすでに彼女はレギュラー専属マネとしてせかせかと仕事をこなしていた。
俺がレギュラーになった時、彼女はまっさきに俺のところにきてくれた。
「君が越前くんね!はじめまして。」
そういって自分の名前を告げながら笑顔で挨拶をしてきた先輩は、ごくごく普通の先輩としてしか目に映らなかった。
はず、だったのに。
いつのまにか目で追っている自分がいた。
男子テニス部唯一の紅一点だからか、狙っている人はおおい。
別に特別可愛いわけではないし、華やかであるわけでもない。
でも、どこか彼女は、誰もを惹き付ける雰囲気と笑顔をもっていた。
そんな彼女に自分もつられてしまったのだろうか。
好きになるはずないタイプの先輩を、いつの間にか好きになっていた。
そのことに気づいたのは、不二先輩・・・の、一言、だった。
「もうすぐクリスマスだけど、彼女は誰とすごすんだろうね。」
「・・・・なんでそれを俺に言うんスか」
「え?・・だって、越前も気になってるかな思って。」
にっこりと微笑んだ後すたすたとコートに向かっていった不二先輩の後ろ姿を見つめながら、先輩の「越前”も”」という言葉にやけにイライラしている自分がいた。
そこで初めて気づかされた、あ、俺って、彼女のこと、好きなんだ。って。
いつから自分の中で、「マネージャー」が「先輩」になって、
「先輩」が「彼女」という一人称になったのだろう。
いろいろ思っていたら、丁度交差点に着いた。
信号が赤から青に変わるのをまつ。信号機のライトが妙に明るく見える。
ぼーっとライトを眺めながら、脳裏にうかぶのは彼女の笑顔。
彼女の、あの優しい香り。
香り・・・?・・・あ、俺重傷かも。
そんな風に思っていた時、肩をとんとんとたたかれた。
「よっ、リョーマくん、お疲れさま!」
「・・・・・お疲れっス・・・」
内心すごいびっくりした。
ふと感じた香りは俺のビョーキのせいかと思ったけど、本物だった。
顔には出さなかったけど、突然のことで数秒彼女の顔を見つめてしまった。
大分長かったのか、急にわたわたとし始めた彼女が口を開いた。
「あのー・・・ど、どうしたのリョーマくん・・・;///な、なんか私の顔についてる?//」
赤くなりながら、え、え、と焦っている彼女。
全く、どこまで俺を夢中にさせるつもりなんだろう。
「・・・ついてないっすよ。」
「え、あ、そ?」
「・・・・先輩、いい香りがする。」
「・・・へ?」
「そ。優しい香りがしたから。」
こんな寒い空気の中で
あなたの優しい香りだけは俺はきちんと感じていた。
君だけの匂い
今回の企画につかわせていただきます。ありがとうございました>お題
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